「これくらい大丈夫」の先にあるもの
宗和 太郎
地震は前触れもなく突然やって来る。そのときどう動くか。頭の中に「正常化バイアス」が働く。「これくらい大丈夫」という根拠のない判断である。
本当はどうしたらいいか分からないから、大丈夫でいてほしいという気持ちが判断を停止させている。
「これくらい大丈夫」で食べ過ぎる。飲み過ぎる。運動不足。生活習慣病は毎日の判断停止が習慣になっているから、改めにくい。日々、授業外学習することもそうである。
生活習慣を改めていこう。判断停止の習慣が、咄嗟のそのときに動けずし、取り返しのつかないことを招くことがある。
「これくらい大丈夫」と使ってはいけないお金に手を出してしまう。友人に誘われるまま、止めた方がいいことに手を出してしまう。飲み会に誘われる、飲酒もたばこもドラッグもギャンブルも、危険のシグナルが出ているのに、先送りしてしまうことがある。
みんなの後をついていって、津波に逃げ遅れた。約束破りを繰り返し、人から信用されなくなった。甘い言葉に被害にあい、自ら人をだますのも平気になった。自ら勉強する習慣が作れず知恵がなくなった。
人生、楽天的なのがいい。そう思っている人が、判断を先送りして不幸に陥っていないか。人間関係の破綻、犯罪の被害者になる・加害者になる、災害に逃げ遅れる。
気分は楽天的なのがいい。どうにかなる、明日に希望を持とう。しかし根拠のない判断に身を委ねるのは危険である。細心の注意を払って考えよう。
日本は戦争に突入するとき、勝ち目のない無理があることは多くの人が認識していた。しかし、周りの根拠のない気分に押しつぶされしまった。
「正常化バイアス」に身を委ねないためにはどうしたらいいか。大切なのは、小さな失敗に気づき立ち止まって考えてみることである。
頭の中では最悪の事態を想定し、小さな失敗から、最悪の結果にならない教訓を引き出すことである。
このまま行ったら、最悪、何が待っていると思う?