子どもの姿から保育を考える
- ミヤタンコラム
幼稚園や保育園では●●●の音が聞こえない?
幼稚園や保育園、こども園の子どもたちの生活を思い浮かべてみてください。
元気に遊んでいる姿、お友達とケンカをしている姿、お家に帰りたくて泣いている姿・・・。様々な姿が想像できるかと思います。
そんな幼稚園や保育園での子どもたちの生活ですが、実は、小学校や中学校などではよく聞く“あの音”が聞こえないのです。
それは、、、「チャイムの音」です。
小学校や中学校などでは、授業の始まりと終わりを知らせるチャイムの音がありますね。
その音によって、授業時間と休憩時間がはっきりと分けられていたかと思います。
ですが、幼稚園や保育園ではそのようにチャイムで時間を区切るということはあまりありません。
それはなぜでしょうか?
幼稚園や保育園、こども園では、子どもたちの活動を「時間で」区切るのではなく、「子どもたちの姿によって」区切っているためです。
具体的には、「〇時〇分になったから製作活動終了」とするのではなく、
子どもたちの様子や表情を見て「集中しているな」「もう少し時間を取ると遊びが深まりそうだな」という時には、時間を調整しながら活動を展開していきます。
つまり、「子どもの姿から」保育を考えていくということですね。
では、保育はその場しのぎのように展開されているの?
上のトピックでは、時間によって活動を区切るのではなく、子どもの姿をもとに活動の時間を調整しているということを述べました。
では、保育は無計画にその場の「ノリ」で行っているのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
幼稚園や保育園、こども園では、園の教育理念や保育理念に基づき、入園から修了までの在園期間の全体にわたって、
各園の目標に向かってどのような道筋をたどって教育及び保育を進めていくかを明らかにするために計画を立てていきます。これを「全体的な計画」といいます。その「全体的な計画」に沿って、1年間ごと(年間指導計画)、一か月ごと(月案)、一週間ごと(週案)、一日ごと(日案)に、どのようなねらいをもって保育を展開していくのかという計画を立てていきます。
その際、先ほどの「時間で区切るのではなく、子どもたちの姿によって時間を調整する」という考え方と同じで、「この活動をしよう」ということが先に来るのではなく、「子どもの姿が○○だから△△という活動をする」というように、子どもの姿をもとに保育の活動を考えていくのです。
つまりこちらも、「子どもの姿から」保育を考えていくということですね。
子どもの姿から保育を考えていくことの重要性
ここまで、活動時間の区切り方、活動の計画の仕方を例にあげ、子どもの姿から保育を考えることをみてきましたが、
子どもの姿から保育を考えることには、どのような意義があるのでしょうか。
子どもたちが現在どんなことに興味を抱いているのか、どんなところが育っているのか等、常に子どもの側に立って保育を考えることは「子ども主体」の保育に一歩近づくと考えられます。
目の前の子どもたちの姿を見取り、今までの姿から育ちを考え、そして明日の保育に繋げていくこと、その繰り返しこそが保育の営みなのかもしれません。
参考文献:佐藤哲也「子どもの心によりそう 保育・教育課程論」福村出版
※本日のテーマと関連する授業は、「教育課程論」です。