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2020/03/27

「小さな成功」への大人の配慮

■社会に踏み出せない

 高校時代、先生からよく言われた、「継続は力」だと。皆さんはどうでしょう?

 恥ずかしながら私は3日坊主で長続きしたためしがない。よく言えば「好奇心旺盛」だが、「飽きっぽい」からだ。「飽きっぽい」のはなぜか。頑張っても結果が出ないと、すぐやる気を無くしてしまう。そしてつくづく私は素質もないし根性も無いと思う。

 今、「引きこもり」が増えている。半年以上自宅に引きこもる人が15歳から39歳で54万人。引きこもりは若い人のことと思いがちだが、昨年の調査で40歳から64歳でも61万人いることが分かった。合わせて100万人を超える「引きこもり」である。

 昔と比べて、大人も子どもも体験空間が薄っぺらになった。となり近所との人づきあいや親戚づきあい、兄弟姉妹づきあい。人の中で揉まれる経験が少なくなり、人づきあい、コミュニケーションに自信が持てず、社会的自立が難しくなっているのではないか。

 一方、肥大化したのはネット空間で過ごす時間である。リアルな社会生活には恐怖すら感じる人がいても不思議ではない。こういう私も40年前、学生時代に自分は社会人にはなれないと思い、就職を延ばして大学院へ進んだ。

 今の学生達にとって、社会的自立という課題はもっと大きな壁であろう。1年次、保育園や幼稚園へ1日体験実習に行って、「自分は向いていない」と心折れる学生がいる。3日坊主ならぬ1日坊主である。

 

■「小さな成功」体験の必要性

 努力が足りない、我慢が足りないと説教したくなる。しかし努力も我慢も、自信があればこそできる。「私には素質も根性もない」「何をやってもダメだ」という負のスパイラルに陥っている時、脱出の鍵は何か?

 必要なのは「小さな成功」である。できないと思っていたことができたという体験である。大きな成功ができれば、それに越したことはないが、大きな成功を目指すから失敗の負の意スパイラルに入る。

 人間を見つめるのに「鳥の目」と「蟻の目」がいる。俯瞰して高いところから人間の成長を理解することと、ぐっと心に近寄って小さな一歩を踏み出す勇気を理解する「複眼的思考」である。「千里の道も一歩から始まる」。小さな挑戦が小さな成功となり、それが小さな自信となり、次の挑戦への勇気を生み、努力や我慢も育てる。そのために必要なのが、本人がやってみたいと思い、やればできそうな課題に出会うことである。それが大人の配慮である。

 社会的自立は教育の最重要課題である。大人になってしまうと忘れているが、誰にも「小さな成功」体験があり、そこにはきっと周りからの温かい心遣いがあったはずだ。心折れやすい今の若者に「小さな成功」を体験させてやりたい。

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