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令和4年度卒業証書・学位記並びに修了証書授与式学長式辞

 

今日、桜咲くこの良き日に、卒業並びに修了を迎えるのは、保育科卒業生173名、現代ビジネス科卒業生40名、専攻科福祉専攻修了生10名、計223名です。

本日は感染予防のため参加者を絞らせていただいておりますが、同窓会会長廣池直美様にはご臨席いただき、式を挙行できますことを大変嬉しく思います。

コロナ感染の波が何度も押し寄せ、入学してから今日までずっとコロナ禍の学生生活でした。やりたいことができずに残念な思いをしたこともあったのではないでしょうか。

しかし私が誇りに思うのは、皆さんの挑戦です。感染拡大を前にして、準備してきた春の忍ヶ丘祭の中止を決断し、夏の忍ヶ丘祭(夕涼み会)の発案、短大のマスコットキャラクター「しのぽん」の考案、大型テントを立てての秋の忍ヶ丘祭、クリスマスコンサートなどを企画、挑戦しました。こうした表だったことの他に、みなさん一人ひとりの中にも、知られることのない様々な挑戦と工夫があったことと思います。

挑戦して成功や失敗を経験することが私たちを一歩成長させます。挑戦しなければ、失敗はありませんが、成長もありません。皆さんが不自由な中で、果敢に挑戦したことに賞賛を送ります。「ニーバーの祈り」をご存知でしょうか。

神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。

考えてみれば、私たちの人生に制約や不自由は付いて回ります。社会や家庭の状況、自分の能力や健康、どうしようもならないことがあります。制約や不自由を言い訳にして、何もしない人も多くいる中で、皆さんは制約を言い訳にせず、最善に向けて努力することを選びました。言い訳の誘惑に打ち勝つことが、自分に誇りを育てます。様々な困難にぶつかっても、自分を見失わない人生を築くことができるでしょう。

今世界に目をやると、ウクライナにロシアが侵攻し、街が破壊され夥しい命が奪われ、世界中が心を痛めています。ウクライナの人々は苦しさから逃れようもない中で、誇りある生き方を続けています。第2次世界大戦後、人類は戦争のない平和な世界を目指して努力してきました。それなのに再び武力による他国の侵略が行われることを悲しく思います。

どこの国が優位に立ち、どこの国が従属するのか。人間関係でいえば、誰が上に立ち、誰が支配や暴力を強いられるのか。そんな動物社会と同じ争いを、人間は知性により克服したいと願ってきました。

人間の幸せは人より優位に立ち、人を支配することでしょうか。

それとも人間の幸せは、全ての人がその多様性と共に尊重され、人から愛されることでしょうか。

自分がされたくないことは人にしない。自分がしてほしいことを人にする。道徳の黄金律です。本学の建学の精神「礼節・勤労」の根本にある精神です。

自分が苦しみを知るからこそ、人の苦しみを理解できる。自分に喜びがあるからこそ、人の喜びがわかる。だから人に役立つことができる。そんな思いやりで社会は作られねばなりません。

自分本位の帝国主義、支配競争の時代から、共に生きる共生主義の時代に変わらなければなりません。誰一人見捨てることなく、その幸せを実現しようとすることが、二一世紀の礼節・勤労です。それが世界平和にも通じる、人間社会の目指すべき方向です。

これからは皆さんが世のため人のために貢献していく番です。礼節を保ち、人々に貢献していくことができれば、人々から愛される幸せな人生が生まれます。

母校はいつまでもこの忍ヶ丘に立ち尽くします。明教庵の大楠はいつでも皆さんを優しく迎えてくれるでしょう(明治の昔から子どもたちを優しく見守ってきました)。自分の足跡をたどりたくなったとき、遠慮せずにいつでも母校にお立ち寄りください。

ご家族の皆さま、ここまで多くのご苦労がおありだったと思います。いま決意を新たに社会に羽ばたこうとしています。おめでとうございます。

卒業生・修了生諸君、君たちの前途に幸多き事を祈る。

以上をもって、式辞とします。

 

令和5年3月17日

学長 宗和 太郎