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宗和太郎前学長ブログ2023

理想の短大を作る

短大の理想とは何だろう?

 経営する側から見れば、人気があって、入学者を集めるに苦労せず、就職先からも信頼が厚く、教職員が一つにまとまり、互いを尊重しながら協力していることだろうか。入学者にとっては楽しく充実した生活が送れ、就職をはじめとした将来に確実につながることだろう。親にとっては、この入学者の願いに加えて負担が少なく、信頼がおける所だろうか。地域や就職先から見れば、しっかりした人間を育てることにおいて間違いがなく信頼できるということになると思う。

現実の本学はどうか?

 高校卒業生の数は少子化のために年々減り、入学者はピークの平成6年頃と較べて半分になっている。一方、高等教育機関の数は増え、多くの大学や短大と同様本学も入学定員を充足できていない。就職は地元を中心に毎年100%であるが、中には就職して続かない者もいる。それでも創立57年、宮崎県を中心に送り出した卒業生は2万人を越え、地元にそれなりの信頼は得ている。

今何を目指すべきか

 全国的に見て短大進学者は減少傾向にある。それでも宮崎県で、短期で高卒以上の知識・技術、教養を身につけさせ、子どもの将来につなげたいと願う親は少なくないと考えている。

①教職員の協力体制

 個性豊かな教員が多い高等教育機関において、本学はここ数十年、全学的に目指すべきことを考え、共に努力する伝統を築いてきた。教職員の協力は厚い。

②将来につながる教育

 進学も含めて就職は100%であるが、それはとりあえず社会に送り出しただけである。就職後の長い人生の基礎を固めたい。それは知識や教養の寄せ集めではなく、その時々ぶつかる課題を乗り越えていける知識、判断力、行動力、そして思いやりや誠実さだろう。本学ではそれらを学修目標(学位授与の方針:ディプロマポリシー)として組み立て、2年間の教育の中に組み込み、実効性を高めようしてきた。しかし徹底を期すのはなかなか難しい。

 肝心、要なものとして重視するのは、自分で調べて追究し、人と対話しながら課題を解決していく力である。そのためには授業を受身にせず、さまざまな考えに出会う中で、新たな視野を切り拓く体験を積むことが大切だ。努力の甲斐あって、授業外での学習時間が増え、自力で学習するようになっている。しかし自力で社会へ飛び立つにはまだ不十分だ。教員同士、学生にもっと探究や対話に臆せずチャレンジさせる工夫を話し合っている。

③楽しく充実した学生生活

 教職員の視点だけで教育を考えるのは不十分だ。主人公の学生が毎日わくわくして登学し、充実感を感じていなければならない。1人ひとりの学生の尊厳、多様性を尊重し、安心して自分を表現できる環境づくりに努め、学生がコロナに負けずにチャレンジして花を咲かせるキャンパスを実現したい。

 経営的に余裕がある訳ではないので、すべてを十分に行うことはできない。全体最適なバランスが大切と考えている。様々なご指摘や相談をお寄せいただければ有り難い。

 最後になるが、後援会には学校会計の中では十分な支出ができない分野を助けていただいている。感謝申し上げたい。

(2023/02/10記)宗和太郎

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